【CASE1 ゆうせい】 悪性神経鞘腫に対する放射線療法の合併症への治療

鼻と口を分ける硬口蓋にできた悪性神経鞘腫に対して、二次診療施設にて放射線治療を受けたゴールデンレトリバーの悠☆(ゆうせい)くん。

治療の経過がおもわしくなく、主治医の先生からのご紹介で来院しました。

 

【動画①】呼吸が苦しそうで、しきりに舌なめずりをしています。

右の頬に放射線治療の副作用の脱毛が認められます。

【動画②】お家での睡眠時の様子です。

 

【写真①】放射線治療の効果で腫瘍が壊死しています。
激しい口内炎の様子を呈しており、相当な痛みが予想できます。
舌なめずりはこのせいだと思われます。

【写真②】内視鏡で見た鼻腔内の映像です。鼻腔内を腫瘍が占拠し鼻の通り道を塞いでいます。

【写真③】呼吸を改善するために腫瘍(赤〇印)を切除すると、口と鼻の間に大きな穴が空いてしまいます。

そうなってしまっては自分で飲むことも食べることもできません。

【写真④】その問題を解決したのは、可熱変性プラスチック製自作マウスピース(口蓋キャップ)です。

【写真⑤】壊死していた部位を含めて鼻腔を狭くしている腫瘍を、特殊な電気メスを使って蒸散しました。

口腔内に大きい穴が空いています。この上に自作可熱変性プラスチックマウスピースを装着しました。

【写真⑥】手術前のCT画像

【写真⑦】手術後のCT画像。鼻が通っているのがわかります。

【写真⑧】手術後、マウスピースを装着した様子。

【動画③】手術後、いびきも食欲も劇的に改善しました。

【動画④】普通に食べることができています。

【動画⑤】マウスピースの脱着もスムーズに行えます。

心配していたマウスピースに対する違和感にも慣れてくれ、病気とは思えない生活を送ってくれるようになりましたが、すべて問題なしというわけではありません。

マウスピースの耐久性・違和感・脱着の容易さ・スペアの必要性・作成するための麻酔の必要性・動物であるがゆえ微調整が厳しいことなど、新たな問題や要求がでてきました。

それについては次の記事にて記したいと思います。