皆さん、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)をご存知でしょうか?
マダニが媒介する人と動物共通のウイルス感染症です。この感染症は、2012年に初めて日本での感染者が出てから、2019年1月時点で国内の感染例397例、そのうち66例が死亡しています。
現在も有効な治療薬やワクチンがないので、死亡率30%といわれているとても怖い病気です。
ペットを飼育されている皆様に最も知っておいてほしいことは、マダニにからの感染だけでなく、感染したペット(動物)から人への感染が起こることです!!(SFTS感染猫を診察した獣医師と看護師が、マスクや手袋をしていたにも関わらず感染した事例があります)
この事例を受け、当院ではSFTSの周知と注意喚起、および皆さまにマダニ予防の重要性と徹底を改めてお願いしたいと思います。
マダニのシーズンは、成虫が多い春だけと思われがちですが、秋に若ダニや幼ダニが多く発生することは意外と知られていません。また、冬でも自動販売機の裏など温かい場所にはマダニが潜んでいます。すぐに目につかないマダニを予防するためには、年間を通じたマダニ対策が重要です。
普段、目にする機会のあまりないマダニですが、本当に私たちの身近なところにいるのでしょうか?また、うちのワンちゃん猫ちゃんが感染する機会なんてそんなに無いと思っていませんか?
マダニはどんな気候や場所にも対応する寄生虫で、日本全国どこにでも生息していますが、中でも特に好む場所として知られているのが、山林や川原の土手、公園などの草むらです。
マダニは草の先端についていることが多く、近くを通った動物にくっつく機会を狙っています。
ペットにマダニがくっつくのを100%防ぐことは難しいかもしれません。
しかし、年中マダニ予防をすることは可能ですので、マダニを恐れて行動範囲を狭めるというよりは、しっかり対策をしましょう!
マダニは吸血する際に、SFTSウイルスを動物の体内に注入します。
吸血開始から48時間以降に病原体の体内への注入が始まるといわれており、48時間以内なら病原体を媒介する危険性が低いので、定期的な駆除薬の投与で早い対応を心がけましょう。
予防薬をつけていても、飲んでいても、マダニの付着自体は防げませんが、当院で処方しているマダニ予防薬は、48時間以内にマダニを駆除します。市販の予防薬の中によっては効能が弱まりますので、効果のある予防薬を選んであげてくださいね。
フィラリア予防薬と一緒になったタイプ、チュアブルタイプでおやつ感覚で食べられるもの、液体を滴下するタイプなど、様々なタイプがございますので、ライフスタイルやワンちゃん猫ちゃんの性格に合わせてお選びください。